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空中ブランコ [奥田英朗]

イン・ザ・プールの続き。これで伊良部シリーズは十編に。前作同様、奇妙な行動・言動をとりつつも患者の症状は快方に。いやいや、そんなことはどうでもいい。物語なのでそんなもの、自由にコントロールできる。
四本目の「ホットコーナー」。プロ野球の、レギュラー三塁手が、「イップス」にかかり、一塁への送球が、とてもまともに投げられない。それどころか打てなくもなったりする。これは、自分の存在を脅かす新人の入団、という原因があるのだが、原因不明の、ボールが恐いとか投げられないとか、自分にも経験がある。
ここでも伊良部は、普通のキャッチボールはカラッキシ、でもゴロを横に動いて捕ったあとのスローイングはOK、ド真ん中のボールは空振りでも、頭の高さなら大根切ってホームラン、という特異な面を披露する。
前作同様、肩ヒジ張らず気軽に読める一冊。

文藝春秋 ISBN4-16-322870-5


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